TwitterやInstagramなどで天使ママや天使パパの投稿の中に「アドバイスをもらって落ち込む」という内容のものをお見かけします。
「辛かったよね。わかるよ。私も大好きなおばあちゃん亡くしたことある。」
「辛いよね。でもあの人は5年経ったら吹っ切れてがんばってるよ。きっとあなたも大丈夫。」
当然、「ありがたい」という気持ちで受け止められる人もいます。そういう人も多いでしょう。
でも、余計に辛くなる人もいます。
その人のこころの状態によるところもありますし、どういうシチュエーションで誰から言われたかも重要な点ではあります。
では、「声掛けをしたらいけないの?」「親身になっているのにどうしたらいいの?」という疑問が湧くと思います。
アドバイスをすることの難しさ、どういうときならアドバイスをしてよいのかなど、自分が勉強した内容も含めてまとめました。
カウンセリングの基本「アドバイスをしない」
カウンセリングの基本に「アドバイスをしない」というものがあります。
以前の記事であげたNPOこどものちからの井上さんの講話の中で出てきた「自分の経験を話さない」というのはこの「アドバイスをしない」というところに通じていると思います。自分の経験を話すということはそれを参考にして下さいというアドバイスです。
アドバイスはその人を評価し、問題点を抽出し、問題点に対しての解決策を伝えるという工程が含まれます。
アドバイスをされた方からすると、勝手に評価され、ここが問題だと指摘され、適切な行動ができていないことを知らしめられる感覚になります。
そのため、「わかったふうなことを・・」や「私はあの人とは違う」など反論したくなります。
これは「STOP!かわいそうプロジェクト」の内容ととても似ていると思います。その時もお伝えした「共感」の姿勢が大切であると感じています。
アドバイスをするのではなく、ただただ聴き役に徹します。
当人のことを一番知っているのは当人です。当人が話している中で自分の言葉の中から今後どうしたら良いのかを発見していくことがカウンセリングの基本的な姿勢です。そのうえで相手の立場になって相手の目で見て相手の耳で聞いて相手の心で感じる努力をすることが大切です。
どういうときはアドバイスしていいの?
とは言うものの、私もずっとアドバイスのような声掛けをしてきていました。
同じ境遇のパパママからのメッセージなどに自分の経験からこうすると良いのではないかという話をしたりしていました。
カウンセリングの勉強をしている中でこの「アドバイスをしない」という基本姿勢に出会い、違和感を抱き、アドバイスは絶対ダメなの?こういう場合もアドバイスしないの?と受講資格事務局へ問い合わせたりしました。
事務局からの返答は「相手からはっきりとアドバイスを求められた場合にはしても良い」とのことでした。ほとんどの場合、はっきりとアドバイスを求められていない中で勝手にアドバイスをしていたことを認識しました。
これはアドラー心理学でいうところの「課題の分離」と「共同の課題」に通ずるものがあると思います。こちらから勝手にアドバイスをする時は「課題の分離」が出来ておらず相手の課題に土足で踏み込んでいる状態です。「私は支援したい気持ちがある」ということだけは伝えて相手がそれを希望して初めて「共同の課題」にできるとアドラーは考えます。
「共同の課題」になったときにはじめてアドバイスを素直に前向きに受け止められる準備ができたことになります。
この「アドバイスしない」という姿勢は、友人との会食で愚痴を聞くという場面でも有効な方法です。
自分が愚痴をいう立場で思い返してみれば、ただただ聴いてくれる人に愚痴は言いたいはずです。「そういう時はこうしたらいいんじゃない?」とか「それは辛いね。でもその経験は成長の糧になってるよ。」などと返ってくるとストレスは発散できませんよね。
「こういう時はどうしたらいいと思う?」と聞かれて初めて意見を言うことが望ましいですね。
余談ですが、リハビリという職種は対象者の評価・問題点の抽出・対策を考える職業です。
ですが、相手から求められていない場合(リハビリの導入が本人の意思を介していないことが結構あります)、ルーティンワークのようにこれらを実施しても患者さんとの間に良い関係を築くことはできません。学校では当たり前のようにこの手順を習ってきて臨床の現場に出てものすごい違和感を感じることになります。学校でもカウンセリングの技術は時間を割いて勉強するべきところと感じます。
まとめ
ということでアドバイスはありがた迷惑なのか?ということについて記事にしてみました。
まとめると、
・こちらから自発的にアドバイスはしない
・はっきりと助言を求められた時だけアドバイスする
・支援したい気持ちがあることだけを伝えて「共同の課題」を目指す
何かの参考になれば幸いです。
読んでいただきありがとうございました。
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