【研修まとめ】「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と終末期ケア」という研修に行ってきました。

お役立ち情報

2019.11.12 「アドバンス・ケア・プランニングと終末期ケア:エビデンスを実践に活かす」研修まとめ記事

今日は仕事終わりに医師会主催の研修会に参加してきました。
そのことをまとめます。

カズマを看取ったときのことを思い出しながら聴いていましたが、カズマのときのことと、通ずるものがとてもありました。
在宅で看取ることを支援してくれた、そしてカズマの死亡診断をしてくれた在宅医の先生の素晴らしさを改めて感じた研修でした。

内容は終末期、看取りについての内容になります。
この情報が有益なものになる方もいらっしゃると思い記事にしていますが、
そのような内容を読むことに負担を感じる状態の方はここでブラウザバックしていただけたら幸いです。

アドバンスケアプランニング(ACP)について学んできました。

2019.11.12 前橋市医師会主催の研修会に参加しました

ACPとは

2018年、厚労省で定めた定義は「人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス

ポイントは①多職種チームで判断
     ②徹底した合意主義で、本人の意思を第一に尊重し、家族の気持ちに寄り添う
     ③緩和ケアの重視・充実の必要性

愛称は「人生会議」。

欧米での研究結果を用いて、ACPはどのように変遷を遂げてきて、どのように介入していくことが望ましいかが示されていました。

患者(家族)の意向・目標・価値観に基づいて、変わりゆく患者(家族)にとって望ましいケア・望ましい終末期を目指して、「患者(家族)が大切にしていること」「どのように過ごしたいのか」という生活面の話や、「積極的治療の中止」「予後」「ホスピス(在宅ケアのこと)」「DNAR(蘇生措置の拒否)」「最期の療養場所」などの医学的な話し合いを行う。

医学的なことよりもどんなことが大切なのか、生活面のことを話し合うことが大切で、これは職種関係なく行うことができるとのことでした。そして得られた情報はチームでしっかりと共有して行くことが大切とのことでした。

ACPの効果

研究結果からACP介入群に有意に変化があったこととして

終末期の意向の共有、意向に沿った終末期ケア↑
退院後の患者の満足度↑
遺族の満足度↑、ストレス↓、不安↓、抑うつ↓

別の研究でも、ACPに関する系統的レビュー効果について

将来の医療についての話し合い↑
患者・医師のコミュニケーションの質↑
患者の意向に沿ったケアの提供↑
望まない入院↓
ホスピス・緩和ケアの利用↑
事前指示書(AD)の完成率↑

また、終末期の療養場所と患者のQOL(生活の質)についての調査では、「在宅」「緩和ケア病棟」「病院」という3つの群で遺族へアンケート調査をしたところ、ほぼすべての項目で「在宅」で過ごされた方のQOLが高い結果となりました。特に差が見られた項目として「望んだ場所で過ごす」「落ち着いた環境で過ごす」「家族や友人と良い関係でいられる」「希望や楽しみを持って過ごす」が挙げられました。
「自宅で過ごすこと」が持っているパワーを改めて感じました。

患者・家族教室での試み

カズマも入院していた東京の病院で講師の先生は「患者・家族教室」を定期的に開いているとのことでした。そこではACPについて15分ほどの講義を行っているとのことでした。

内容はACPをわかりやすく説明すること。

「ACPとは?」
上であげたような内容をさらに噛み砕いて説明

「なぜACPを行うことが大切なの?」
ご本人が大切にしていること・お気持ちを教えていただき、一緒に話し合っていくことで、
①ご本人の思いに沿った、治療やケアを受けられるようになります
②家族など信頼できる人も、ご本人の思いを尊重するにはどうしたらよいかがわかるので、助かります
③医療・介護職も、ご本人の思いを最も尊重した治療・ケアを一緒に考えることができます

「いつ、何を考えたり、話したりするの?」
いつからでも結構です
ご本人が大切にしたいこと(これまでの暮らしで大切にしてきたこと、今の暮らしで気になっていること、治療やケアでしてほしいこと、してほしくないこと)に’ついて話します
具体的な治療・ケアのこと(状況に応じて)(化学療法のことなど)について話します

そのあと、紹介ビデオを見ました。ビデオではとにかくはじめに「あなたの大切なことはなんですか?日常生活で大切にしていることを行っているか」などを聴いていました。

早期からの緩和ケア

進行肺がん患者を対象に行った研究では、早期からの専門的緩和ケア介入群と通常のがん治療群とで分けた所、早期から緩和ケアを行っていた群では通常の治療の群に比べて、

3ヶ月後のQOL↑、抑うつ↓、予後認識↑、1週間以上のホスピスケア↑、終末期の過度な治療↓、死亡前60日のケモ(化学療法)↓(特にギリギリになってから使用する事が激減)、生存期間↑

という結果でした。また、別の研究でも

コーピング支援↑、QOL↑、抑うつ↓、ACP支援↑、ホスピス↑

信頼関係をなによりも重んじていて、患者さんと仲良くなれないとACPに移行できないと言っていました。
また、医師から終末期ケアなどについて話す段階に居ないと判断される時、もしくは今後面談が組まれているが、ACPができている状態かどうか知りたい時、そういったときには看護師さんに仲介してもらっているとのこと。看護師さんの中には患者さんと関係性を築けてる人が数人はいるので助けてもらうとのことでした。

予後告知について

医師も患者への伝え方は色々悩んでいることがわかりました。

特に、話し始める時期に関しては医師によってかなりばらつきがありました。

蘇生措置の拒否については「入院した時」に話すという方が多く、予後については「患者・家族から聞かれた時」に話すという方が多い結果でした。ホスピスや療養場所については「抗がん剤治療が限られてきた時」に話す方が圧倒的に多かったです。
そして、どの内容にも「説明しない」「患者・家族からきかれたら」という医師が一定数いることがわかりました。つまり家族側から動かない限りは教えてもらえないということです。
日本人は受け身でいることが多いですが、聴きたい内容があれば自分から積極的に聴いていくことが必要だと感じました。

積極的治療中止の面談を受けた患者の意向についても調査がありました。
患者が求めていることは、

これからの生活(緩和ケアを含める)
納得できる説明(がん治療のどういう時期かを含める)
これからの具体的な支援・サービス情報
心の準備(余命を含める)
希望を支える
共感的パターナリズム

この中で特に「共感的パターナリズム」が大切とのことでした。
が、なんのことかわからなかったので調べました。

〜略〜
意思決定に必要な3つの共有事項を確認したうえで、医師がプロフェッショナルとして一番お勧めの選択肢を提示するという「共感的パターナリズム」(リバタリアンlibertarian(自由意思論者(の))・パターナリズムとも言われている)を行うことで、意思決定をスムーズにし、患者・家族の心的負担を軽減するというものです。共有事項は、①悪い知らせを前にした「感情の共有」、②重症度や予後に関する「情報の共有」、③患者さんやご家族の「価値観の共有」の3つです。担当する医師が、それぞれの共有事項に添って、相手の気持ちを理解しようと努めながら、曖昧な言葉や判断を廃し、患者・家族の意向に合わせて、その時点で最善と思われる選択を提示するというものです。この方法は、患者・家族の心的負担を軽減するだけでなく、担当した医師の心的負担の軽減につながると思われます。

https://web-opinions.jp/posts/detail/136

東京の病院や群馬の病院の主治医との面談で差を感じたことの一つはこのことだったのかなと思いました。
はっきり言うと東京の病院での主治医の先生はとても優秀な先生だったのですが上でいうところの「①感情の共有」は相当苦手だったようでした。そのためどうしても先生のことを頼りづらく、副主治医に相談をしたりしていました。
群馬の先生はこの「共感的パターナリズム」をしっかりされていたように思いました。

予後告知の意向について日米の文化差の調査についても紹介がありました。

日本人はアメリカ人と比べて予後告知を「全く話してほしくない」(米:日=2%:10%)「自分から尋ねたときだけ話してほしい」(米:日=10%:30%)と答える人がとても多く、逆に「医師から話し出して教えて欲しい」(米:日=60%:40%)という意見がアメリカ人と比べ少ないことがわかりました。

予後の伝え方についても研究されており、結果だけお伝えすると、

予後をはっきり伝えることで、不安が惹起されることなく、不確実感を減らし、満足感を高めることができるが、ACPへの意向には影響しない
目を見て話し合うことで医師への信頼感、医師の共感性の評価は大きく高まるが、はっきり伝えるか否かは影響しない

ということで、医師は患者・家族の目を見て数字まで示せるのであればはっきりと予後を伝えることが大切なようです。
カズマの主治医達はこのあたりはそのようにしていただけていました。

死亡直前期

死亡前一週間に起こりうる現象から死亡直前期に入ったと考えるべき7つのカテゴリーがあるとのことです。

①直感
②呼吸の変化 リズムがゆっくりに、下顎呼吸、死前喘鳴など
③意識・認知機能の変化 意識レベルの低下 昏睡
④経口摂取の変化 食事・水分摂取困難 嚥下障害
⑤皮膚の変化 四肢のチアノーゼ・冷感 鼻・口唇周囲の蒼白
⑥情動的な状態の変化 落ち着きの無さ、身の置き所の無さ、精神状態の悪化
⑦全身状態の悪化 身体機能低下、不可逆的な状態、臓器不全

見る人の直感は大事なようです。

死についての話、死を前提とした行動

緩和ケア病棟のがん患者の遺族999人を対象に行った調査で、死についての話・死を前提とした行動の有無とその後悔について調査した日本の研究が紹介されていました。結果は、

患者と死について話した・・・50%
死を前提とした行動をとった・・・80%

死についての話を・・・
一切しなければ良かった3.3% あまりしなければ良かった3.3% ちょうどよかった56% もう少しすればよかった25% もっとすればよかった11%

死を前提とした行動を・・・
一切しなければ良かった1.0% あまりしなければ良かった1.2% ちょうどよかった48% もう少しすればよかった34% もっとすればよかった16%

という結果でした。ちょうどよかったと思う方は半数ほどで、多くの方がもっと話をすれば、もっと行動に移せばよかったと感じるようです。

私はカズマと死については全く話しませんでした。その勇気はありませんでした。タイムマシンで戻っても死についての話をカズマとできるかどうかはわかりません。多分できないと思います。

東京の病院では主治医との面談の中でカズマくんには話ししてますか?ということを聞かれました。私たちは「していません。」と答えました。逆に「4歳の子にも話すこともありますか?」と聴くと、「4歳はボーダーで話す方も話さない方もいますが、5歳には病状について話しています」との回答でした。これはかなりショッキングでした。結局最期までカズマと死については話しませんでした。話したらもっと望ましいものになったとは思えませんので後悔はありません。

死を前提とした行動は十分なほどやったと思います。こちらについても後悔ありません。

死についての話・死を前提とした行動をすることによる抑うつ・悲嘆についての調査もあり、死について話したり、行動したりする方が、抑うつや悲嘆のレベルが低くなっていました。

でも、状況によっては患者・家族間ではっきりと死について話すことが難しいことがあり、
話す・話さないにかかわらず、家族が死を前提とした行動がとれるように支援することで、家族の後々の抑うつや悲嘆の軽減になるかもしれない
と話されていました。

また、「いつまで本人は会話ができるか」についても調査されていて、
亡くなる7日前で25%、1日前で50%、半日前で60%の方が話せなくなっていたとのことです。

看取りにおけるケア

看取りにおける望ましいケアとして

  • 死亡直前の兆候をはっきりと説明してくれた
  • 患者がいつまで話せそうか説明してくれた
  • 「患者さんは苦しくないと思います」と教えてくれた
  • どう患者に接したら良いか一緒に考えてくれた
  • 亡くなった後、患者と家族で過ごす時間があった

望ましくないケアとして

  • 死が差し迫っていることを過度に説明された
  • これからの変化について曖昧な説明しかなかったことで見通しが立てられなかった
  • 病室の外から医師や看護師の声が聞こえてきた

という意見があがっているようです。
そこから学ぶこととして

  • 苦痛の緩和につとめる
  • 苦痛を気にかけ、死亡直前兆候に関しては苦痛がないことを言葉で伝える
  • 患者にどう接したらいいか、家族の相談に乗る
  • 病室内外での会話に配慮する
  • 亡くなった後、患者と家族で時間を過ごせるようにする

これはこれから医療者として訪問リハビリの中で看取りの利用者様と関わる時に気をつけようと思います。

「死亡確認」はなぜ大切か という説明が載っていました。

人がいかに死ぬかということは、残される家族の記憶の中にとどまり続けます。最期の数時間に起こったことが、残される家族の癒やしにも、悲嘆の回復の妨げにもなるのです。

近代ホスピスの創始者 シシリー・ソンダース

私もカズマの最期については鮮明に覚えています。そして、その後、在宅医の先生に来てもらって死亡確認をしていただきました。その時のことも鮮明に覚えています。その時先生にカズマのことを認めてもらえたこと。とても立派だったと言ってくれたこと。カズマはウルトラマンになれたんだねと言ってくれたこと。本当に嬉しかったです。あの時の先生の対応があって今の私の精神状態があるのだなと思います。感謝しかありません。

まとめ

ACPの前に信頼関係!日頃から患者・家族が大切にしていること(価値観)・目標・意向、気がかり・希望を伺うことがACPにつながる。
院内外の多職種の医療・介護従事者と効果的に情報を共有する。特に緩和ケア病棟への店員、在宅ケアへの移行など主治医機能が移行するときは、可能な限りこれまでの意思決定支援やその背景を共有する。その上で必要なことは、受け手の方から患者・家族に聴くようにする。
日々の話し合い、予後を含む終末期についての話し合いから死亡確認後まで、言語的・非言語的に共感を伝える。
患者・家族間で病状の認識や希望を共有しているか確認し、必ずしもはっきりと死について話さなくても、必要な行動がとれるよう、適宜橋渡しを行う。

医師じゃなくてもできることはたくさんあると感じました。特に関係性を作って信頼関係になっておくことは日々のリハビリ時に行っていることでもあります。いざ看取りの方向へ話が進んでいく時にその信頼関係ができていれば、担当制であり関わる時間の長い私達リハビリにこそ役割があると感じました。私たちは利用者さまの目標や大切なことについてを重要視して日々介入しています。それを活かして今後の看取りにおける支援を行っていきたいと思いました。

まとめ

今回この研修を受けた理由として、今後の仕事に役立つことであると同時に、カズマを看取ったことをきっかけに終末期ケアの大切さを理解できたことがあります。

人生の最期をその人の好きなこと、したいことを一生懸命支援し、最高の最期にするということが本人、家族がどれほど救われるかということを身をもって体験したこと。

カズマがくれた財産の一つだと思っています。

研修が終わって夜空を見上げると今日は満月でした。
カズマは月が大好きで、0歳〜1歳のころは寝る前に月を眺めに外へ出ていました。
その頃のカズマは月のことを「ま」と呼んでいて、その呼び方がとてもかわいかったです。
月を見るたびにその頃のカズマを思い返し、笑顔になります。

読んでいただきありがとうございました。

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