2019.12.6「在宅療養支援委員会症例検討会」
2019.12.8「群馬県作業療法士学会」
遅くなりましたが参加した内容について感想などご報告いたします。
「在宅療養支援委員会症例検討会」
カズマがお世話になった小児医療センターで行われました。
訪問看護ステーションに勤務しており、症例検討会の通知が来たので申し込みました。
自宅での看取りについての症例でした
内容は個人的な情報もあるため掲載できません(自宅での看取り自体少ないので病名だけでも特定されてしまうかもしれませんので病名も控えます)が、カズマと同様に自宅での看取りの症例でした。
はじめに関わった病院の医師、訪問看護ステーション、往診医がそれぞれの立場からどのように関わったのか、どのように感じたのかの発表があり、そのご6チームに分かれて自宅での看取りのメリットと問題点などについて話し合い、最後に発表するという流れでした。
往診医の言葉「死ぬために家に帰るのか、生きるために帰るのか」
それぞれの立場からの発表の中で、往診医の言葉がとても心に刺さりました。
病院で行われたはじめの会議の時に感じたこととして「この子は家に死にに帰るのか」と感じたとのことでした。
でも自宅に帰ると、兄弟との関わり、遊びに来てくれるお友達や親戚、家族とのいつもの生活を見て、「生きるためにここへ帰ってきたんだな」と実感されたとのことでした。
看取り、ホスピスケアは「死ぬために帰るのではなく、生きるために帰る」
発表を聞いていてカズマのことが重なり涙をこらえきれませんでした。
カズマも確かに病院ではできなかった「生活」を自宅で取り戻し、「生きていた」と思いました。カズマと自宅に帰ることを選択した時、意識していなかったですが、カズマも「生きるために帰った」んだと、そう感じました。
病院看護師「自宅で看取るケースはほとんどない」
グループワークで自宅での看取りについてメリットや問題点を話し合いました。
私は発表者に選ばれました。
グループワークの中で私は訪問看護ステーションの作業療法士としての立場からの意見だけでなくカズマのこと、当事者の親としての意見も伝えました。
「病院ではほとんど食べられなかったのに食べられるようになったこと」
「いとこたちや妹とおもちゃで遊んだり近くを散歩したりお出かけしたり普通の生活ができて幸せを感じられたこと」
「いとこたちや妹に大好きが言えたこと」
「最期は私達の腕の中でなんどもなんどもありがとうと大好きが言えたこと」
当事者からの生の声が聞けたことを喜んでもらえました。
話している中で自宅で看取ることは本人・家族にとってメリットがたくさんあるものの、小児の患者さんの場合、選択する人は殆どいないことが病院看護師さんからの回答でわかりました。
家族としては自宅に帰ることは「治療を諦めること」。諦められないのは当然です。私達もそうでした。
東京の病院で治療をしていたとき、自宅で我が子を看取った内容の記事を読みました。
その時私たち夫婦は「すごいね。私たちには選択できないよね」と話していたことをはっきりと覚えています。
私たちが治療をやめて自宅へ帰ることができた一番の要因は往診医の話を聴いたからです。その時の様子はこちら。
聴きに行く時点である程度はその気持ちはあったのですが、いつから家に帰るのか踏ん切りがつかない状態でした。
先生の話を聴いて踏ん切りがつきました。先生の話を聞かなければ点滴をやめることが怖く、毎日の血液検査の結果が悪くなっていくことが怖く、いつまでも薬を切れず、帰ることができなかったかもしれません。
「お父さんはどうして自宅へ帰る決断ができたのですか?」と聞かれ、「往診の先生のおかげです」と答えました。
病院医師から「自宅での見取りについて考えることを促すタイミングが難しく促せない」という意見が聞かれました。促されない限り、自宅で看取ることの大切さが知らされない限り選択する人は増えないと感じました。
緩和ケアを専門にしている先生の面談をスムーズに受けることができることも大切かなと感じました。
当グループでは以下のように問題点とメリットを話しました。
問題点
- 小児の看取りを見てくれる訪問看護ステーションや往診医が少ない
- 病院と地域の医療機関との連携の難しさ
- 家族は最後まで諦めきれないのでそのような話を切り出すのが難しい
- 自宅での看取りのメリットを伝える機会がない
メリット
- 家族みんなといつもの生活ができる
- 友達や親戚などが遊びに来て会える
- 最期のときを家族だけで過ごせる
- しっかりお別れが言える
群馬県作業療法士学会
2019.12.8 群馬県作業療法士学会に参加してきました。
今回の学会のテーマは「つながり」。
終日参加しましたが、私個人として新しい「つながり」ができた一般公開講座についてお伝えします。
一般公開講座「当事者が思う、作業療法士との理想のつながり」
講師は布施田祥子先生。
株式会社LUYLの代表取締役で、mana’olanaというブランドを立ち上げている女性起業家。
持病の潰瘍性大腸炎という難病(現在はクローン病に変異)と闘いながら、脳出血を発症し左手足に麻痺があるという当事者でもあります。
脳出血後の病院で作業療法士と出会い、発症直後から「嵐のライブに行くこと」を目標にリハビリをがんばり、実際に達成することで「障害があっても何事も諦めずに、自分を信じて、一歩を踏み出してみることで未来が変わる」ということを実感し、現在は会社を通して発信している方です。
現在の会社では障がい者であっても好きな服や靴が選べない現状に疑問を持ち、装具をつけていても履けるオシャレな靴の開発や、似合う服などのセレクトショップをされていたり、障がい者の結婚式をプロデュースしたりしていて、その中で作業療法士も関わらせてもらっているとのことでした。
私が特に感銘を受けたのは、当事者が思うことを活かして事業にしているというところです。
これは障がい者がそれぞれ自分が感じていることを仕事に活かして、さらには社会のために役立てるロールモデルになるなと感じました。
ご本人も退院後復職されたようですが、そこで与えられた仕事をしていることに積極性を感じられなかったとのことです。
そう感じながら働いている障がい者は少なくないのではないかと思います。自分の意志で積極的に自発的に働くことができるのは、満足度、生活の質という観点からとても大切なことです。
私が大切にしている「こころが動いてからだが動く」という言葉に通じています。
講演で質問もさせていただき、講演後名刺交換もさせていただきました。
このブログも読んでいただいたとのことでコメントもいただきました。
今後イベントのサポートなど関わらせていただけたらと思っています。
新しいつながりに感謝です。
まとめ
小児医療センターでの研修後、看護部長さんや地域係の看護師さんから「ボランティア手伝っていただけるとのこと聴きました。ありがとうございます。」とお声掛けいただきました。
着実にボランティア活動の件が進んでいるようで良かったです。
今回の研修を受けて、自宅で我が子を看取った当事者として、自宅での看取りを検討する人が増えるように発信していきたいと強く感じました。
読んでいただきありがとうございました。
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